赤石将也 著 誠文堂新光社刊
赤石くんに初めて会ったのは、2023年のSCAJの会場でした。「家庭用エスプレッソマシンの本を作りたいんです」――開口一番、彼はそう言いました。その言葉には、エスプレッソを一部の専門家だけのものにせず、もっと家庭の楽しみとして広げていきたいという思いが、まっすぐに込められていました。
ロブスタ種をブレンドしたナポリスタイルのエスプレッソは、濃厚でトロトロ。赤石くんのエスプレッソには、その力強さだけでなく、香りや甘み、余韻まで含めた豊かさがあります。『自宅でイタリア式エスプレッソ』は、そんな赤石くんならではの一杯の魅力を軸に、家庭用エスプレッソマシンでどこまで本格的に楽しめるかを実践的に掘り下げながら形にした一冊です。器具や抽出の手順だけでなく、味づくりの考え方や調整の勘どころまで丁寧に言葉にされており、初心者にも経験者にも発見があります。
制作にあたっては、マッチボックスも仕事場にエスプレッソマシンを導入し、大阪に何度も足を運んで取材・撮影を重ねました。ラテアートの写真も数多く収録し、現場の熱気や楽しさごと本に閉じ込めるような、非常に充実した制作になりました。さらに、赤石くんが尊敬してやまない大阪のイタリアンバール「プント エ リーネア」の鎌田さんとの対談も収録。イタリアのエスプレッソ文化の真髄に触れられる、読み応えのある貴重なページとなっています。
そして、イタリアンレッドの真っ赤なカバーを手がけたのは、赤石くんのYouTube仲間でもあるひつじ珈琲の大森さん。梨地加工のベースの上に、濃厚なエスプレッソがポルターフィルターから落ちていく様子をニス引きで表現し、手に取った瞬間からイタリアのエスプレッソの世界観が立ち上がるデザインに仕上がりました。読む楽しさだけでなく、持つ楽しさ、眺める楽しさまで含めて味わえる、ワクワクする一冊です。

