荻原 駿 著 三才ブックス刊
コーヒーの世界はもっともっと広い。その魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい――荻原くんが私たちに最初に語ったのは、そんなコーヒーに対する熱い思いでした。マッチボックスは、その言葉を出発点に、企画・制作として『正解はコーヒーに訊け』を形にしました。
コーヒー系YouTuberとして活躍する荻原駿さんにとって初の著作となる本書は、大阪・富田林の wako coffee で焙煎士を務める傍ら、業界を縦横無尽に駆け回る著者ならではの視点が息づく一冊です。産地、焙煎、抽出、器具、店、それぞれの現場を知る荻原さんだからこそ見える景色が、読者にも無理なく開かれていきます。京都・大徳寺の茶室からアフリカの砂漠に至るまで、コーヒーにまつわる旅のエピソードが満載なのも本書の大きな魅力で、コーヒーという飲み物の奥にある文化や土地の空気まで感じさせてくれます。
知識やテクニックを一方的に語るのではなく、荻原さんなりの「おいしさ」や「迷い」への正解を、コーヒーを通じて探していくエッセイとして読めるのも本書の魅力です。情報や正解があふれる時代に、ひとつの結論を押しつけるのではなく、自分の感覚で確かめながら進んでいく。そのプロセスそのものが、コーヒーの楽しさとして伝わってきます。
カバーの帯コピーは、彼の盟友である備長炭フルシティローストさんが寄稿。さらに閉じ込み付録として、実践にも役立つ焙煎のロースティングチャートを収録しました。読む楽しさと、試してみたくなる実用性の両方を備えた、初心者にも愛好家にも開かれた一冊。読み終えたあと、コーヒーの見え方が少し変わる、そんな読後感を残してくれる本です。


